働き方改革の促進により、会社員の副業は認知が広がっています。気軽に始められる副業も多数あり、チャレンジしやすい環境が整いつつありあります。しかし、副業を始めて副収入を得たら、納税の義務が発生するかもしれません。副業を行うメリット・デメリット、そして税制面の注意点を解説します。
1.会社員の副業が注目されている3つの理由
会社員の副業が注目されているのは、次のような背景が考えられます。
■生活防衛
経済状況や働き方の変化により、一つの収入源だけでは生活を維持することが難しいことも少なくありません。また、人生100年時代においては、現役自体からの貯えも重要です。会社員が副業を始めることで、追加の収入を得ることが可能です。副業は、生活費の増加や貯蓄されるための手段として注目されています。
■自己実現への貢献
個人のスキルや情熱の発揮という観点からも副業が注目されています。副業は、収入面とは別に「やりがい」や「嗜好」の割合をたかめることができます。
個人のスキルや情熱を生かすことにつながり、副業により、個人の成長や充実感を得ることができるのです。
■IT技術の進化
社会全体でネットワーク環境が整備されたほか、多くの企業がクラウド技術を取り入れるようになりました。つまり、在宅勤務がしやすくなったのです。勤務地に縛られず副業を探せますし、通勤時間が不要なのでより短い時間で副業ができるようになったといえます。
2.副業のメリット
会社員が副業をすると、次のようなメリットが得られます。
■収入の底上げ
副業をすることで、本業の収入にプラスして追加の収入を得ることができます。これにより生活費の余裕を持たせるだけでなく、貯蓄や投資、計画的な資産形成にも寄与するでしょう。
■スキルや経験の獲得
副業によって新しいスキルや経験を身につけることができます。例えば、異なる業界や分野での仕事を経験することで、幅広い知識や技術を磨くことができます。副業の経験が本業でプラスに働いたり、転職に生かせたりするかもしれません。
■パラレルキャリアの実現
副業をすることで、第2の仕事軸を持つことができます。例えば、本業は会社員だが副業では個人事業主として起業する。もしくは本業が創造的なので副業は安定した事務職に就く、といった異なるキャリアを実現可能です。キャリアの多様化や、生活の幅を広げることにつながります。
3.副業のデメリット
副業を始める前に、次のデメリットを認識しておきます。
■雇用契約の確認
副業を始める前に、所属する会社の雇用契約や勤務規定をよく確認しましょう。 一部の会社では副業を禁止しています。副業を始めることで本業を失うリスクは冒せません。
雇用契約上副業に問題がなくとも、業務によっては副業が望ましくないことがあります。
例えば、報酬と契約を結ぶなど、本業の会社と副業の間に利益相反が生じる場合です。このような場合、適切な対処や倫理的な判断が必要です。利益相反に該当するか不安な場合は勤務先に確認しましょう。
■自己管理の徹底
副業を本業と両立させるためには、スケジュールや体調を自己で管理することが必須です。両方の仕事で充実した成果を出すために、休息も考慮したスケジュールを立てる、タスクの優先順位を明確にする、といったことが重要です。長時間の労働やストレスは健康やパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。
4.税制面での注意点とポイント
会社員の副業の場合、副業収入が年間20万円を超えると確定申告が必要です。確定申告は、得られた税や消費税などの税金を支払うために、個人や法人が最後に行う申告手続きのことです。1年間(1月1日~12月31日)の所得に対する納税額を計算して申告し、納税する手続きします。
副業時の注意点を3つ紹介します。
【注意点1】「副業だから」は通用しない
収入を得た社会人として、適切に対応することが求められます。「知らなかった」では済まないため、あらかじめ税制面の知識を集め、備えておきます。
【注意点2】確定申告の手間を考慮する
事業に関する確定申告では、日々の金銭情報を領収書・レシート等に基づいて帳簿に記録します。そこらから算出した「売上」「所得」等の情報を確定申告書に記載するのです。
ミスや漏れを防ぐためにも、帳簿はお金の動きがあった時に都度記帳することをおすすめします。平素からこまめに記帳をすることが重要になるため、確定申告(記帳)にかかる手間も含めて副業時間を確保します。
【注意点3】有料ツールの利用は慎重に
日々の金額や項目をスマートフォンやパソコンで入力でき、確定申告書も自動で作成してくれるアプリがあります。便利ですが、確定申告書をサポートするアプリはおおむね有料です。支出額は経費に計上とはいえ、その分利益を減らしてしまいます。便利ツールは費用対効果を考慮したうえで使用するといいでしょう。
まとめ
近年、会社員が副業しやすい社会環境が整いつつあります。チャレンジしやすい副業も多数ありますが、副業にはメリットだけでなくデメリットもあります。また、副業を始めて副収入を得たら、納税の義務が発生するかもしれません。メリットとデメリットをよく理解したうえで、副業をする意義があるか判断します。また、税制面の注意を知ることも重要です。副業をするならば、下調べをしたうえでうまくつきあっていきましょう。