フリーランスになると「税金の仕組みがよく分からない」「思ったより住民税が高くて驚いた」という声をよく聞きます。実は、会社員のときとは異なり、フリーランスは住民税の負担が重く感じやすい仕組みになっています。
フリーランスになってから慌てないためにも、住民税の仕組みを知っておくことは重要です。この記事では、所得税との違いを中心に、フリーランスが押さえておくべきポイントをまとめます。
※税額や税率については、2025年11月時点の情報を基にしています。実際の税額につきましては、最新情報、かつお住まいの自治体の情報をご確認ください。
1. 所得税と住民税の基本的な違い
所得税と住民税は税としての種類が異なるため、そもそもの基本構造が違います。所得税は国税ですので国に納め、住民税はお住まいの自治体に納めるものです。
フリーランスの所得税と住民税において、主な違いは次の通りです。なお、住民税の詳細はお住まいの自治体ごとに異なるため、一般的な内容でお伝えしています。
所得税とは
- 自分で確定申告をして納税
ご自身で所得金額を計算して確定申告をします。フリーランスであれば、事業を行う上で必要な支出は「必要経費」として収入から差し引くことができます - 超過累進課税が採用
所得が増えるほど税率が高くなるのが超過累進課税です。所得に応じた税率なので、公平性が高いです。 - 基礎控除は原則58万円(2025年以降)
2025年から基礎控除がそれ以前より10万円引き上げられました。
住民税とは
- 確定申告の情報が自治体にそのまま連携される
住民税は、自身で手続きをしなくとも確定申告の情報がそのまま自治体に連携されます。自治体で納税額を計算し、納税通知が来ます。 - 住民税の税率は一律10%
住民税のメインを占める所得割の税率は、10%です。「所得×税率」なので、所得に応じて課税されます。一方で、所得がゼロでも必ず発生する「均等割(約5,000円)」もあります。 - 基礎控除は48万円
所得税より基礎控除金額が低いです。
2. フリーランスが住民税を重く感じる理由
起業したてのフリーランスにとって住民税の負担が重い理由は、次のような特徴によるものです。
- 住民税の請求は翌年6月以降
前年の所得に対し、請求が来るのは翌年6月頃です。年度を超えてからの請求となることもあり、失念しがちです。
その年に頑張って働き、翌年3月に所得税や消費税を支払って安心していたら住民税の請求がきて慌てた、というケースもよく耳にします。
- 税率が一律10%
一律の税率(※)であるため、所得が低いほど割高感を感じやすいです。
所得税は低所得だと税率5%ですが、住民税はどれだけ所得が低くても10%です。特に起業したてで所得が低いうちは、住民税との比較で負担を重く感じやすいでしょう。
※所得が一定以下の場合に非課税となる例外もあります
- 均等割が必ず発生する
「均等割」は所得額に関係なく定額で発生する負担です。5~6千円程度の負担ですが、所得×10%で算出した金額に、誰もが上乗せされます。この上乗せは、心理的に重いでしょう。
- 控除額が所得税より少ない項目がある
税金における控除とは、税金を計算する際に金額を差し引くことです。分かりやすく言うと、「100万円から10万円を控除する」という場合、90万円(100万円-10万円)に税率をかけることになります。
控除は複数の種類があり、種類ごとに控除できる金額が決まっているのですが、その控除額が、所得税と比較して少ない項目があるのです。
3.所得税と住民税の控除の違いも理解しておく
控除は住民税を抑えることができる重要な要素なので、もう少し詳しく確認しましょう。多くの方が利用する、代表的な控除を3つご紹介します。
基礎控除
- 所得税の基礎控除 0円~95万円まで、所得に応じて決定
- 住民税の基礎控除 43万円
所得税は所得額が多いと控除がありませんが、逆に所得額が少ない場合は大きな控除を受けられます。所得金額「132万円以下」なら95万円が控除されますし、所得金額「655万円超2,350万円以下」でも58万円の控除が受けられます。起業したてで所得がそこまで高くない時には、基礎控除の存在は大きいでしょう。
参考 国税庁「基礎控除」
社会保険料控除、配偶者控除などは基本同じ
社会保険料は所得税、住民税ともに全額が控除可能です。
配偶者控除や扶養控除といった人的控除は、概ね同じ水準ではありますが、所得税よりも数千円程度低いケースが多いです。
生命保険料控除
生命保険料控除は、所得税よりも住民税の控除額が小さめに設定されています。所得税では一般・介護医療・個人年金の各区分で最大4万円、合計12万円まで控除できますが、住民税は各区分2.8万円、合計7万円が上限です。同じ保険料を支払っていても、住民税のほうが、控除額が低く抑えられているのです。
4.住民税だけじゃない!国民健康保険料の負担も忘れずに
税金ではありませんが、フリーランスにとって重要なので触れておきます。会社の健康保険に加入していた方がフリーランスになると、多くは自治体の国民健康保険に加入します。この国民健康保険料も前年の所得から算定されます。
住民税と同じタイミングで負担が増えるため、納付通知がくると頭を抱えるケースが少なくありません。
介護保険料と合わせた税率は10%を超える自治体が多いです。例えば横浜市の場合、介護保険料も含めた税率は13.96%(令和7年度)です。これにさらに6万8510円の均等割が上乗せされます。
参考 横浜市「令和7年度保険料の料率等について」
上記の横浜市のケースで仮に所得が200万円(※)のときの住民税は次の通りです。
- 200万円×13.96%=27万9200円
- 27万9200円+6万8510円=34万7710円
※年収は350万円程度で、控除(青色申告特別控除含む)と必要経費を差し引いて所得が200万円になるイメージ
※ここに書いてある以外の条件については考慮しません。
5.フリーランスが住民税で困らないための対策
フリーランスは住民税の金額と納付時期に注意しなければなりません。支払いの段階で慌てないためには、毎月住民税と国民健康保険料を積み立てておくことをおすすめします。
また、青色申告を活用すると最大65万円の控除が受けられるため、所得額を抑えることが可能です。
その他、支出した必要経費を適切に計上することも重要です。
事業が好調で所得が上がるときほど、翌年の住民税が上がることを意識しましょう。
まとめ.住民税の仕組みを知って“2年目ショック”に備えよう
フリーランスが住民税を重く感じやすい理由は以下のとおりです。
- 税率が一律10%で、所得税より負担が重くなる場合がある
- 前年所得で翌年に課税されるため、発生を失念しがち
- 所得ゼロでも均等割が発生する
- 控除額が所得税よりも小さいケースがある
住民税の仕組みを理解し、早めに準備しておくことで、フリーランス特有の税負担にもスムーズに対応できます。住民税によって資金繰りが厳しくならないよう、留意していきましょう。