無事住宅を購入し、住宅ローンの返済リズムも整ってくると「あとはコツコツ住宅ローンを返済していくだけ」と安堵しがちです。しかしマイホームを保有していれば、一定の維持費がかかります。どんなに良い家でも経年劣化が生じるため、時間が経つほど維持費の必要性は高まります。ここでは主に一戸建てのケースを想定し、必要な維持費について紹介します。維持費を準備しておくことで的確なメンテナンスが行えるため、将来も安心して家に住まうことができるでしょう。

(最終更新日2021-5-17)

 

1 毎年発生する住宅維持費

最初に、毎年発生する固定資産税を紹介します。固定資産税は税金であるため、税法に則った額を支払わければなりません。また支払い時期もコントロールしにくいので、必要な時期に確実に資金を用意しておくことをこころがけます。

固定資産税とは

固定資産税は、土地や建物の所有者に対し市町村長が課す税金です。支払い義務者は毎年「1月1日時点の所有者」で、土地と建物双方にかかります。市区町村が課税する地方税であるため、納期や支払い方法はお住いの市町村によって差がありますが、東京23区の場合は6月1日に納付書が発送されます。一括支払いでもいいですし、年4回に分けて納付することも可能です。たたし、第1回目の納付期限は6月30日と、送付された月中に支払わなければなりません。慌てることがないよう、事前に把握しておきます(※2021年の場合のスケジュール例)。

固定資産税の支払いは一生継続

基準となる不動産の評価額を市町村が決定します。自治体ごとに計算方法は公表されていますが、特例が多いため計算方法は複雑です。税額は、都心であれば20万円や30万円以上かかることがある一方、都心を離れれば10万円程度であることも。住宅価格と比較すると、毎年の支払い額は小さいかもしれませんが、住宅を保有している限り支払いは一生続きます。

なお、3年ごとに固定資産税の金額は見直され、建物については年数とともにその価値は減じていくのが一般的です。しかし土地は近隣の地価が上昇すれば評価額が大きくなる可能もあります。家に届く納税通知書や課税明細書は毎年きちんと確認・保管し、評価額の推移に留意しておくといいでしょう。

参照 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|東京都主税局

 

2 定期的に発生する住宅維持費

5~10年程度のスパンで定期的に発生する住宅維持費として、火災保険を紹介します。

火災保険とは

火災保険とはその名のとおり、火災を原因とする損害を補償する保険です。しかし近年の補償対象は火災に限りません。台風や水災等の「自然災害」、「盗難被害」「所定の損害賠償」「損害が発生した際に付随的に発生する費用」など幅広く補償されるようになってきています。補償の幅が広いため、補償内容を理解することが重要です。

補償内容をきちんと理解することで、ニーズに合う保険を選びやすくなりますし、いざという時にきちんと補償を受けやすくなります。

火災保険料の目安は?「高い」「安い」の基準は?

火災保険は補償内容や建物構造、お住いの地域によって変わってきます。基本的に、構造が鉄筋やコンクリート造りなど、造りのしっかりした建物の方が火災リスクは小さいと考えられ、保険料が安い傾向にあります。また、厳しい耐震基準をクリアしている建物は地震保険の割引率が高いです。

そのような理由で、火災保険の保険料は個人差が大きくなります。ここでは参考までに、3つのパターンで火災保険料を紹介します。

・パターン1 支払保険料 7万円程度/年

※新築住宅一戸建て(木造)

※所在地 東京

※補償額 建物2500万円、家財1000万円(地震保険の補償は各50%)

※支払い方法 年払い

・パターン2 支払保険料 4.5万円程度/年

※「パターン1」と同じ条件で、家財保険のみを外した

・パターン3 支払保険料 3万円程度/年

※新築マンションのケースで想定(免震構造)

※補償額 建物1500万円、家財1000万円(地震保険の補償は各50%)

※補償額はパターン1・2と差がありますが、補償内容は概ね同じ

保険期間は最長10年契約です。長期契約で、かつまとめて支払うことで1年あたりの保険料を割安にすることができます。「月払い」「年払い」「5年払い」「10年払い」などがありますが、保険会社によっても違いがあります。火災保険料を確認するときは、支払い方法も同時に確認しておきます。

防アリ工事も目安は8~10年ごと

一戸建ての場合、防アリ工事も定期的に行います。概ね8~10年ごとに行うことが推奨され、1回の工事費用は15万円程度が目安です。

 

3 将来かかる住宅維持費は金額規模が大きい

15年や20年など、長期的なスパンで発生する維持費を紹介します。

 

外壁塗装(屋根塗装)

外壁塗装、屋根塗装は外壁材や塗料にもよりますが、15~20年程度のスパンでメンテナンスが必要です。各費用は60~80万円が目安ですので、双方を合わせると100万円以上かかると考えられます。なお、外壁塗装と屋根塗装は足場の設置や洗浄など、共通する工程があるため別々に塗装するよりも合わせて塗装するほうが割安になるとされます。

仮に20年後に100万円の塗装工事を行うなら、1年あたりの積立額は5万円です。全額は無理でも、将来のメンテナンス費として少しずつ資金を準備していきましょう。

リフォーム

リフォームは、規模により価格帯がかなり異なります。ただし、国土交通省の「住宅市場動向調査(令和元年度)」によるとリフォーム資金の平均は「178 万円」。このうち自己資金は 137 万円ですので、おおむね自己資金でリフォームする方が多いようです。

また、リフォームの内容のトップ3は次のとおりです。

1:住宅内の設備の改善・変更  34.9%

2:冷暖房設備等の変更 33.4%

3:住宅外の改善・変更 30.9%

出典 令和元年度 住宅市場動向調査 報告書 (PDF)| 国土交通省

 

どんなリフォームをどの程度行うのかで変わりますが、リフォーム資金として100~200万円程度はかくほしておけるといいでしょう。なお、外壁塗装もリフォームに含まれます。上記3の「住宅外の改善・変更」に外壁塗装が含まれると考えられます。

 

マンションの場合のリフォーム費用

マンションでは共用部分については修繕積立金で対応できます。国土交通省の調査によると、修繕積立金の平均は月額で206円/㎡あたりです。仮に70㎡の部屋であれば14000円程度です。

ただし、修繕積立金を積み立てていれば安心とは言えません。積立金が不足すれば追加で拠出が求められる可能性があります。さらに、専有部分のリフォームは自己負担ですので、やはり一定の自己資金を用意しておきたいです。

参照 マンションの修繕積立金に関するガイドライン(PDF)|国土交通省

 

まとめ マイホームの維持費は各方面でかかる

マイホームの維持費は税金である固定資産税のほか、火災保険料やメンテナンス費用などがあります。メンテナンス費用のうち、家の状態を大きく変えるリフォームについては、かなりの費用がかかります。住宅購入時から維持費を意識して、計画的に準備していきます。メンテナンス費用を全てご自身で用意しなければならない一戸建ての方は、メンテナンス資金が必要になる前からメンテナンス用の「マイホーム積み立て」をしておくといいでしょう。