住宅ローン返済中の死亡や病気に対するリスクを軽減してくれるのが団体信用生命保険(以下「団信」)です。団信には、無料で保障が付帯できるものと、有料で保障を付帯するものがあります。
有料型の多くは住宅ローン金利が上乗せされるタイプなので、毎月返済額に直接影響します。金利を上乗せしてまで団信に加入する意義はあるのでしょうか?有料型団信の実力を検証します。

【団体信用生命保険とは】

団信は所定の状態になると住宅ローンの残高に応じた保険金が支払われる保険です。たとえば世帯主が死亡した場合に、保険金によって住宅ローンが完済できます。
各金融機関で団信の商品性は異なりますが、多くは「死亡・高度障害」のみが無料で付帯され、それ以外の「病気やけが等の保障」は金利上乗せ型です。

<一般的な団信保障>


保険料が発生するタイプの団信にはさまざまな種類のものがあります。

・3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や8大疾病(3大疾病プラス高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変)など。5大疾病や7大疾病などもあり、商品によって疾病の範囲は異なります

・けがや介護状態など、疾病以外も保障するタイプ

・夫婦連生型。保障対象を夫婦に拡大するもの

さまざまなリスクがあり団信も複数のものがあります。全てのリスクをカバーするのは難しいため、自分はどのリスクが高いのかを知り、適切なものを選ぶ必要があるのですね。

団信について詳しくは
住宅ローンの不安を軽減する「団体信用生命保険」について知ろうをどうぞ

【有料タイプの団体信用生命保険、その特徴は】


有料の団信は金融機関ごとに単一、もしくは複数のものが存在します。その中から大手銀行の団信を2つ見ていきたいと思います。

りそな銀行 団信革命(特定状態保障特約付住宅ローン)


りそな銀行の団信革命は、保障範囲が広いのが特徴です。
【1】3大疾病
死亡・高度障害のほか、「がん」「心筋梗塞」「脳卒中」

【2】病気・ケガによる16の状態
「病気・ケガを問わず所定の身体障害状態に陥った場合」と「不慮の事故による障害を直接の原因とする身体障害状態の場合」を保障します。

【3】要介護状態
所定の要介護状態



<病気・ケガによる16の状態>
(病気・ケガを問わず所定の身体障害状態に陥った場合)
1 呼吸器の機能に著しい障害を永久に残し、酸素療法を受けたもの
2 恒久的心臓ペースメーカーを装着したもの
3 心臓に人工弁を置換したもの
4 肝臓の機能に著しい障害を永久に残したものまたは肝移植を受けたもの
5 腎臓の機能を全く永久に失い、人工透析療法または腎移植を受けたもの
6 ぼうこうを全摘出し、かつ、人口ぼうこうを造設したもの
7 直腸を切断し、かつ人工肛門を造設したもの
8 両耳の聴力を全く永久に失ったもの
9 1上肢を所定の条件で失ったもの
10 1下肢を所定の条件で失ったもの

(不慮の事故による障害を直接の原因とする身体障害状態の場合)
11 1眼の視力を全く完全に失ったもの
12 脊柱に著しい奇形または著しい運動障害を永久に残すもの
13 1手の5手指を失ったもの
14 1手のうち所定の範囲を失ったもの
15 10手指の用を全く永久に失ったもの
16 10足指を失ったもの


<要介護状態>
所定の要介護状態になると住宅ローンの残高がゼロになります。介護状態になった原因は問いませんので、病気・事故・ケガなどさまざまな理由での介護が対象です。

要介護状態の条件は次のようになります。

・公的介護保険制度にて、要介護2以上の認定を受けたもの
・所定の介護状態になり、かつその状態が180日以上継続した場合

ここでいう「所定の状態」は細かくなるので割愛します。「公的介護保険制度における要介護2」を目安とし、詳細は契約書を確認してください。

<金利>
金利上乗せ0.3%

※りそな銀行公式サイト

続いて三井住友銀行の団信をご紹介します。三井住友銀行は、保障範囲を夫婦に広げる、自然災害のリスクを担保するものがあります。

三井住友銀行1 クロスサポート(連生団体信用生命保険付住宅ローン

<保障範囲>
夫婦どちらに万一のことがあっても、住宅ローンの残高がゼロになる団信です。通常の団信は住宅ローン契約者のみか保障の対象です。もしローンを組んでいない配偶者が亡くなっても、団信の保障はありません。夫婦で住宅ローンを借りて、共に団信に加入していたとしても、保障される住宅ローンは各借り入れ残高が対象です。

クロスサポートならば、夫婦どちらに万一のことがあっても、住宅ローンの残高がゼロになるので安心です。

<金利>
金利上乗せ0.18%

公式サイト

三井住友銀行2 自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン


<保障範囲>
家が地震・噴火・津波・台風・豪雨・洪水・雪災・落雷などの自然災害の被害にあったとき、住宅ローンの一部が免除される団信です。
自然災害により家が被害を被ると、住宅ローン返済と修繕費のダブルで負担がかかります。そんなとき、全額ではないにしろ住宅ローンが減ればうれしいです。

<金利と保障内容>
金利上乗せ0.1% (約定返済保障型)
住宅の被災状況に合わせて一定期間相当分の、住宅ローン返済が免除(払い戻し)されます。
「全壊」で24回分、「大規模半壊」で12回分、「半壊」で6回分です。

金利上乗せ0.5%(残高保障型)
地震・噴火・津波により自宅が全壊の認定を受けた場合に、住宅ローン残高の50%相当が免除(保険金による返済充当)されます。

公式サイト

りそな銀行のように疾病やケガのリスクを厚くすることは保障を「深く」するといえます。一方、三井住友銀行のように夫婦や災害まで保障する団信は保証の幅を「広く」するといえそうですね。

【金利上乗せ型の団体信用生命保険 メリットは】

大手銀行の団信を2つご紹介しました。2つだけですべてを判断することはできませんが、「保障の充実」と「保障や商品の分かりやすさ」、2つの傾向があります。この傾向を個別に見ていきましょう。

1 保障の充実で必要な団信を取捨選択できる


複数の商品を扱っている、保障内容がバラエティに富んでいる場合が多いです。加入者は商品性を考慮し、金利を上乗せしても加入する意義があるか判断できます。

病気・けが・介護・死亡……等、住宅ローン返済中のリスクは複数ありますが、人によってリスク許容度が違います。病気やケガは、預貯金が豊富であればそこまで心配する必要はありません。
また、子どもがいない(もしくは年齢が大きい)世帯も返済リスクは小さい場合が多いです。「加入しない選択」も含め、必要に応じて自分に合った団信に加入できるのは大きなメリットですね。

2 分かりやすさも重要なポイント

商品が分かりにくく理解が浅いと、住宅ローンの残高がゼロになる条件が想定と異なり「こんなはずではなかった」という事態に陥りかねません。

また、ここで挙げた大手2行の場合、電話対応もしているので問い合わせが容易です。メールやチャットでも問い合わせは可能ですが、うまく疑問を伝えるには「何が分からないのか」を理解して文章にしなければいけないのも負担ではないでしょうか?
「どこから聞いたらいいのか?」「何が分からないのかが分からない」などのケースではやはり対面や電話での相談が助かります。サポート力も考慮して良し悪しを判断することをおすすめします。

※無料タイプの団信については保障が充実ってホント?無料の団体信用生命保険は使える?をご覧ください

【保険料のかかる団信 メリットのまとめ】

団信は無料の方がいい、という人も多いでしょう。
しかし、商品性や問い合わせのしやすさなど、総合力で判断すると有料の団信にも多くのメリットがあります。検討の際は、無料・有料にこだわらず幅広い商品から適した物を選びたいです。

※本記事は、執筆当時の情報を元に作成されています。
※その後の情報更新は、随時しておりますが、完全ではないことをご了承ください。