「繰上げ返済すると利息分が浮くから得をする」とは言いますが、実際にどの程度お得になるかご存知でしょうか?
自分で計算しようとすると非常に細かいですが、金融機関からもらう「返済早見表」(※1)を使えば簡単に計算できてしまいます。
金融機関から表を貰う手間さえかければ、計算自体は決してむずかしいものではりません。
計算方法をご紹介します。
※1 返済早見表とは、借入時に金融機関からもらう返済一覧表のことです。
名称は金融機関ごとに異なりますが、返済回数・毎月返済額・金利・残債などが主に記載されている表です。
一部繰上げ返済の方法は2種類
全部繰り上げ返済は繰り上げ返済額と、本来なら支払い続けた金額との差額で出すことが出来ます。
そのためここでは一部繰り上げ返済について見ていきます。
一部繰り上げ返済の返済方法は2つです。
- 期間短縮型
繰り上げ返済によって返済期間を短くします - 返済額軽減型
繰上げ返済によって毎月の返済額を少なくします
個別に見ていきましょう。
※以下で紹介する返済方法はすべて元利均等・固定金利・ボーナス払い無しとしています。
※諸経費についても考慮していません。
1:期間短縮型の利息軽減額、計算方法
期間短縮型の計算方法
期間短縮型とは、繰り上げ返済する金額を全て元金の返済にあてることにより、元本部分の返済期間が短縮されます。
「早く返すことになった期間分」の利息が軽減することとなります。
返済早見表を用いた、繰り上げ返済:計算例
- 借入額 3000万円
- 金利 年利0%
- 返済期間 30年(返済回数360回 元利均等返済)
上記の条件で、12回目の返済と同時に約100万円を繰り上げ返済します。
【返済早見表の例】
- 返済回数、何回目までジャンプする?
返済するのは約100万円なので、12回目の返済から100万円以上減る返済額の回数を見つけます。
(100万円からの繰上げ返済なので、見つけるのは100万以上へる回数です。100万以下ではありません)
ここでは【299,373,658(☆1)-1,000,000=289,373,658】に一番近い金額ですので31回目の返済(☆2)まで繰り上げ返済することとなります。
- 返済額を割り出す
1の「13回目~31回目までの期間」をジャンプすることがわかりました。実際に繰り上げ返済する額は31回目の残高に合わせることとなります。
28,342,754円(☆2)-29,373,658円(☆1)=1,030,904円……(ア)
(ア)が繰り上げ返済額となります。
- 利息軽減額を計算
繰上げ返済により、13回目~31回目までの返済は元本のみとなります。
つまり、13回目~31回目までの利息額(表中黄色のセル部分)が返済不要となります。
黄色セル部分の合計額は1,372,235円……(イ)
(イ)が利息軽減額。繰り上げ返済により支払が不要になる額の合計です。
期間短縮型の繰り上げ返済とは
期間短縮型は、利息軽減効果は大きいものの毎月の返済額は変わりません。
よって、今後教育費の増加や給与の下降が予想されるような場合はお勧めできません。
家計が苦しくなるのが分かっているなら期間短縮型ではなく返済額軽減型のほうが適しているのです。
期間短縮型でも大丈夫という家庭は実は限られます。
子供が就職・独立予定であり確実に支出が減るとか、余裕資金を繰り上げ返済に充てるというような場合のみです。
完済を焦って無理な期間短縮返済を行わないよう注意しましょう。
いかがでしたか?
次回は返済額軽減型の計算方法についてご紹介します。
足立の住宅&家計相談FP ライフプラン応援事務所の横山でした。